7 / 8ページ
6.教育機関
ここで私の研究テーマに関連して、COVID-19禍の教育機関にまつわる状況について触れておきたい。教育機関の閉鎖が始まったのは3月18日であり、全国的なロックダウンに先駆けて実施された。7月20日時点においては、8月6日までの閉鎖が発表されているが、政府は新型コロナの状況の改善が見られない場合は9月まで閉鎖を延長することも表明している。教育省が策定した「教育部門のCOVID-19対応計画 (COVID-19 Response and Recovery plan Education sector)」では、長期的な学校閉鎖が初等・中等教育における中途退学、児童婚、児童労働の増加につながる事が懸念され、その対応を早急に取ることが目指されている。3月末よりバングラデシュ政府は、テレビによる授業配信を実施しているが、長期的な学校の閉鎖による損失は計り知れない。日本で行われているような、オンラインによる遠隔授業も実施されているが、インターネット環境が決して良いとは言えないバングラデシュにおける課題は山積みである。インターネット配信の授業を受けるには、PCやスマートフォンを所有し、月々の通信料を支払うなどして、インターネット環境を整える必要があり、そういった経済的負担ができる世帯は中流以上の家庭の中でも限られてくるのが現状である。さらに、チッタゴン丘陵地帯をはじめとする田舎には、電気が普及していない地域も多い為、教育格差が益々広がることが懸念されている。
私が2014年度に1年間日本語教師として勤務したチッタゴン丘陵地帯・ランガマティ県にある寄宿舎学校MOANOGHARでも、インターネットによる授業がFacebookのグループページを用いて5月末より開始された。教員らは、「ネット環境・電気等問題は山積みであるが、教員一人一人ができる事を考え、今はこのような措置を取っている。チッタゴン丘陵地帯は特に、インフラが整備されていない地域であるので、早い学校の再開を希望している」と、語ってくれた。また、授業の再開はしていないが、子どもは友人に会いたいがため、学校の校庭に集まりサッカーやクリケットをしているようで、子どもたちの行動は自由になっている事が分かる。