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また、町中では、公共交通がストップした以外に、3月末より道の途中やモスクなどに簡易的な水道が設置されるようになったり、新型コロナ対策が絵で分かりやすく描かれたポスターも貼られるようになったりした。
緊迫した状況が少しずつ変わってきたのは、4月も後半に入る頃であった。感染を恐れていた低所得者層の人、日雇いの仕事をしている人、青果以外の露天商、物乞いの人びとを住宅街で目にしたり、近所のスラムの人達から助けを求める声が聞かれるようになったりした。最初は2週間で終わると思っていたロックダウンの度重なる延長に、いつこの状態が終了するのかわからない閉塞感が加わり、町中のいたるところで不満が噴出するようになり始めていた。物乞いの人びとは、道で物乞いをするのではお金が集まらないと判断し、住宅街を巡りアパートに向かって叫ぶようになった。