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おわりに
私が、バングラデシュに残ることを決めたのは、無理な帰国によって移動時等に感染するリスクがある事、慣れ親しんだ国である事(約9年関わりがあり、約3年暮らした経験があった)、言語が日常生活に不自由しない程度にできる事、頼ることのできる現地人/日本人の友人・知人が当地に多かった事に加えて、日本に帰国した際に帰宅先が田舎である為、海外からの帰国者である自分が田舎の人びとに不安な気持ちを抱かせてしまい、自分自身も、大きなストレスを感じるだろうと考えたからである。また、状況に応じた決断を下すことができたのは、様々な事情を理解し常に見守ってくださっている、関係するすべての皆様のおかげであることをここに感謝の気持ちと共に記したい。
また、文中で述べたNGO支援活動においては、72名の方から合計531,333円のご寄付をいただいた。この寄付金により合計190世帯と、2つの女性緊急避難シェルター、1つの学校への支援を実施することができた。全世界がCOVID-19の影響を受けている中にもかかわらず、多くの方がバングラデシュの人々へ手を差し伸べてくれたことにも深く感謝している。
バングラデシュの新型コロナは、一時期1日の感染者数が3,000人後半~4,000人を記録していた6月中旬~7月上旬の頃と比較すると、7月中旬以降は1日の感染者数が3,000人を切る日も少しずつ出ており、徐々に感染者数が減っているようにも見える。ただしこれについては、7月よりPCR検査を政府が有料化したことにより、感染者が減少しているように見えているだけではないかという見解もある。感染拡大に加え、海外出稼ぎ労働者への対応、ロヒンギャ難民キャンプでの感染対策、コロナ禍における災害時の対応等課題は多く複雑である。感染への対策を十分にとりつつ、当地に残っている日本人の方々や、現地の友人らと共にこの国での生活を続けてゆきたい。そして、その経験に基づいて、バングラデシュと新型コロナのこれからを、今後も記録していきたい。