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はじめは、何事かと思い少し怖いという気持ちがありながら部屋の中で過ごしていたが、アパートに向けて叫んでいる物乞いグループが知り合いである事が分かった。アパートの大家さんや、近所の人が物乞いに対して自然と喜捨している姿を見て、私も自分に無理のない範囲で喜捨をしようという気持ちになり、5月中旬以降から週に2回ほど10BDT(約13円)ずつ喜捨するようになった。
このような状況に対して、NGO等の活動は、政府に許可を得る必要があったものの、ロックダウン直後よりスタートしていた。BRAC (Bangladesh Rural Advancement Committee: バングラデシュ農村向上委員会)は、バングラデシュ全土のスラムマップを作成し、NGOらによる支援活動に活用を促していた。学生団体も多く活動し、ダッカ大学をはじめとする諸大学の学生らが貧困世帯への食料配布はもちろん、消毒液の製造と配布を低所得者層に向けて行っていた。また、政府による生活相談のための緊急電話番号「333」ヘルプラインは、COVID-19に関連した貧困層からの相談電話が増加した事を明らかにしている。COVID-19専用の遠隔医療相談を含む電話相談窓口を別に開設し、相談のあった家庭へ食料配付も行っている。(4月28日までにヘルプラインは46,673家族の食料援助を実施)。この他に、低所得者向けに食料を低価格で販売する等の動きがみられた。
そして私自身も、バングラデシュに暮らしたことのある友人らと共に、(本エッセイのはじめのほうで述べた)自分自身が運営するNGOにおいて、新型コロナ支援活動のための緊急支援基金を募ることを決意し、実行に移した。