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この時期になるとマスクの効果がようやく認知され始め、5月半ばにはスーパーや公共の場での着用が強く推奨されるようになった。しかし5月後半の段階では屋外でマスクをしている人は1~2割ほどで、筆者がマスクをして歩いていたところ笑われたこともあった。この後マスクをつける人は徐々に増え、8月ごろになると外の通りでも8割以上はマスク姿で、マスクの価格も高騰した。
夏休みを迎えると、ベルギーでも海岸部のビーチの混雑が報じられるようになった。また感染リスクの高い地域からの入国に際しては検査や自己隔離が義務づけられていたものの、日本のように空港で厳しい取り締まりがあるわけでもなく規則を守らない人が続出しているという報道もあった。
新学期
ベルギーでは9月から徐々に感染症例が増えていたが、リエージュでは9月中旬に大学が開いた。構内では、通行方向を示す矢印が廊下に貼られ、カフェテリアでも距離を取るためにレジに至る通路に待機位置を示すシールが貼られていた。
大学に自由に入れるようになったこの時期、いつ二度目のロックダウンになるか分からないという思いがあったため、必要な資料を借りてデータを取るという作業を続けていた。貸出について特例を認め便宜を図ってくださった職員のみなさんには感謝しきれない。
9月末からは、大学での大規模検査が始まった。これは、教職員・学生のうち希望者が匿名かつ無料で週1回受けられるというものである。方法は簡単で、朝食前にプラスチックの管に唾液を入れ、大学で検体を提出し、2日後に専用のウェブサイトで結果を見られるというものだった。
大学に行ってみると、人によってパンデミックとのつきあい方が大きく異なることが感じられた。友人たちの間でも意見は分かれており、「なぜリスクの低い若者の行動がこんなに制限されるのか」と文句を言う人もいれば、「自分が罹りたくもないし人に移したくもないから必ずマスクを着用し、決まりを守っていない人には注意する」という人もいた。