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二度目のロックダウン
10月になると気温が下がり、感染症例が急増し、10月15日から開催予定だったリエージュの秋のフェアも直前になって中止という事態に陥った。この伝統あるフェアは移動遊園地や食べ物の屋台が出る秋祭りのようなもので、住民にとってクリスマスマーケットよりも大事な存在なのにと友人が嘆いていた。
10月19日からテイクアウトを除き飲食店は閉店され、テレワークが原則となり、0時から5時の夜間外出禁止が始まった。また同居人以外で社会的距離を取らずにマスクなしで15分以上の「近づいた接触」ができる人数が一人に制限され、外での私的な集まりの人数も四人に制限された。24日にはフランス語圏で夜間外出禁止が22時から朝6時までに拡大された。検査能力が不足したため大学での大規模検査は中止され、大学の授業も再開から1か月ほどで再び完全オンラインに移行することとなった。11月2日にはさらに制限が強化され、食料品店や薬局、本屋、園芸店・手芸店・工具店などを除く店舗が閉店された。これがいわゆる二度目のロックダウンの始まりである。日照時間が少なく天気も悪くただでさえ暗いベルギーの冬に二回目のロックダウンは精神的な負担が大きく、友人たちと「もううんざりだ」と愚痴を言い合った。
その後、筆者は事情があって一時帰国した。自宅で一人の研究生活も大丈夫なほうだと思っていたが、一時帰国してみて、ロックダウン下での生活が自分の心身にとっていかに大きな負担であったか実感することになった。
幸いなことに徐々に状況は好転し、12月1日には飲食店や美容室などを除く商店の営業再開が許可された。しかし各家庭原則一人しか自宅に人を招待できないという厳しい決まりはクリスマスや新年の休暇の間も緩和されず、友人から嘆きのメッセージが届いた。
規制の継続とワクチン接種の開始
ベルギーでは2021年2月現在に至るまで、テレワークの義務や夜間外出禁止、「近づいた接触」のできる人数や私的な集まりの人数の制限などの規制が継続されている。また1月27日からは必要不可欠なものを除く国外渡航が禁止されている。2月13日から美容室が営業再開されたが、レストランやカフェはテイクアウトを除き10月から閉まったままである。長く続く規制で人々は疲弊し、我慢も限界に近づいており、上述の規則も必ずしも守られていない。
規制下にはあるが状況は比較的落ち着いており、街にはそれなりの人出がある。暖かくなってきた最近は、友人や家族とショッピングや散歩をする人、テイクアウトした食事を屋外で楽しむ人も多い。また新しい移動手段として電動キックボードを使う人も増えている。